よく服の素材表記で見かける「綿」。
なんとなく体に優しいイメージの綿素材ですが、機能性面・ファッション面でメリット・デメリットは様々です。
今回は、その「綿」のメリット・デメリットをまとめ、綿を使用した服はどうなのかということについてお話していこうと思います。
綿(めん)とは?
綿(めん)とは、別名「コットン」と呼ばれるアオイ科植物の種子に密生している繊維のこと。
天然繊維の中で最も広く使用されていることで知られており、実用的なものから、ファッショナブルなものまで幅広い用途があります。
ちなみに、綿を繊維について階層で分けると、
繊維>天然繊維>植物繊維>種子毛繊維>綿(コットン)と表現できます。
ちなみに、通常の綿(コットン)とは別に「オーガニックコットン」というものもあり、3年間農薬や化学肥料を使用していない農地で、農薬・化学肥料を一切使用せずに生産された有機栽培の綿(コットン)のことを指します。
綿(コットン)のメリット
肌に優しい
綿繊維は、肌触り、着心地、快適さに優れ、柔らかいことが特徴です。
これには、綿繊維の形状が大きく影響しており、綿繊維に「天然のよじれ」があることで、肌への接触面積が少なくなり、結果的に心地よい肌触りへとつながるわけです。
また、綿は吸湿性が高いことで知られており、一般的には8%~12%と汗の吸収にも優れます。
その結果、衛生的な状態を保つことができ、汗疹もできにくいので、作業着などにもよく使用されます。
自然に優しい
綿(コットン)が自然に優しいことは言うまでもないでしょう。
綿は、れっきとした天然繊維であり、環境に悪いとされる化学繊維に対して、近年では、綿などの天然繊維をなるべく使用するようにしようという風潮が生まれています。
例えば、無印良品やH&Mなどは、多くの綿を使用しているアパレルメーカーとして知られており、地球温暖化が世界的な問題になっている中、このような取り組みや意識を持っていることは非常に素晴らしいことだと思います。
安価
綿(コットン)は、比較的安価な素材として知られています。
綿が広く使用されるようになったのにもこのことが関係しており、今のアパレル業界では、欠かせない存在となっています。
勿論、綿にも種類があるわけで、その中でも高価なものから安価なものまでありますが、安く服が手に入ることは、僕たち消費者からしても嬉しいメリットであるはずです。
耐久性が高い
綿(コットン)の4つ目のメリットは、耐久性が高いこと。
適度に弾力があり、引っ張った時の耐久性は全繊維の中でも高いとされています。
特に、綿は濡れると耐久性が10%~20%ほど上がると言われているため、洗濯する際など、その特性を十二分に発揮してくれるはず。
また、アルカリにも強いため、せっけんや、合成洗剤で洗濯しても劣化しにくいというメリットもあります。
体温調整が容易
綿(コットン)は、夏には涼しく、冬には暖かく感じることができます。
ちなみに、これも綿繊維の構造に起因。
中心に空洞があることで、
夏には、水分を吸収して外に発散し、その際に体から熱を奪うことで涼しく
冬には、空洞に空気を含むことで、外部に熱が逃げないようにして暖かく
という仕組みができています。
また、綿の布地を起毛させることで繊維内の含む空気量が増えるため、より暖かさを感じられるものが出来上がります。
染色しやすい
綿(コットン)の主成分は、化学をとっていた人なら聞いたことはあるであろうセルロース(C6H10O5)nという多糖類で、そのほか少しの不純物を含んでいますが、精錬・漂白すれば不純物もなくなり、染色しやすくなるというメリットがあります。
染色しやすいと、その名の通り色が入りやすく、結果としてより鮮やかな色合いの服が出来上がるので、ファッションシーンでも扱いやすい素材だと言えます。
綿(コットン)のデメリット
縮みやすい
綿は耐久性が高いと言いましたが、洗濯すると縮んでしまうというデメリットも存在。
綿繊維の構造上、中心が空洞になっているため洗濯時に水分を吸収しやすく、体積が増えた後に乾燥すると以前より縮んでしまうのです。
しかし、最近では、防縮加工が施されていることが多いのでそれほど心配はいりません
もし、どうしても気になるという場合は、乾燥機を使用しないこと、洗濯ネットに入れて洗うことなどをおすすめします。
しわになりやすい
綿(コットン)は、しわになりやすいです。
ただし、樹脂加工や形態安定加工を施したり、ポリエステルと混紡するとしわを防げると言われており、「綿:ポリエステル=35%:65%」が綿の特性や風合いを残したまましわを防げる理想の比率だとされています。
ちなみに、しわを防ぐ代表的な加工方法には、イッセイミヤケで有名なプリーツ加工などがあります。
綿は綿でも種類がある?高級な綿と一般的な綿の違い
みなさん、綿は綿でも様々な種類の綿があることをご存じでしょうか?
生産地や気候によっていろいろな種類の綿が存在し、それぞれの特徴も違ってきます。
以下は、その世界中の「綿」について簡単にまとめたグラフです。
長繊維綿(3.5~6.0cm) | 中繊維綿(2.5~3.0cm) | 短繊維綿(2.0cm以下) | |
種類 |
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品質 | 高級 | 中級 | 低級 |
用途 |
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ちなみに、世界の綿花の約90%は中繊維綿だそうですから、みなさんが普段ファッションで着ているような服の大半が中繊維綿であると言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「綿のメリット・デメリット【ファッション豆知識】」というタイトルでお話していきました。
結論、綿は万能すぎる植物繊維ということで、コストパフォーマンスで言うならば最強クラスだということができるでしょう。
これなら素材表記で綿を多く見かけることも納得できますし、機能性を考慮しても様々な用途で活躍していることも理解できますよね。
環境にとっても優しいことから、これからの時代、綿を使用した衣類がますます増えていくことが予想されます。
出典:テキスタイル辞典
今回の記事はここまでです。
最後まで見ていただきありがとうございました!
他にもファッションアイテム関連の記事をあげているのでよかったら見ていってくださいね!