+Jで話題のブランド「JIL SANDER(ジルサンダー)」。
今回はブランド紹介と題して、ジルサンダーとは一体どんなブランドか歴史や特徴を踏まえて解説し、本人期をはじめとした歴代デザイナーやおすすめ通販サイトの紹介も行います。
ジルサンダーとは?ジルサンダーの歴史
ジルサンダー 2019ss メイヤー期
ジルサンダーとは、Jil Sander本人が1968年ドイツ・ハンブルクでスタートしたファッションブランド。
設立当初はJil Sander本人がデザインしたアイテムはほとんど無く、セレクトショップ形態のブティックとして運営していました。
当時の活動には苦労があったようですが、70~80年代は香水の売上が好調で持ちこたえました。
Jil Sanderがファッションデザイナーとしてブランドをスタートしたのは1973年のこと。
パリ・プレタポルテ・コレクションで正式にデビューし、1980年に一時撤退した後、1985年に拠点をミラノへ移します。
出典:Pinterest
ジルサンダー 1987aw 本人期
活動拠点を移して2年後の1987年、ジルサンダーは初めてミラノ・コレクションに出場します。
その頃は80年代を代表するデザイナー、“Claude Montana(クロード。モンタナ)”の「カラフルで派手な服」が主流。
ミニマルで時代の流れに反していたジルサンダーのデザインは過少評価されましたが、80年代後半に差し掛かり時代が追い付くと一気に名が知れ渡ります。
ちなみにジルサンダー社は、1989年にドイツ・フランクフルト市場で上場。
これを機に世界規模でブランド展開が可能になり、知名度の上昇に繋がりました。
出典:VOGUE
ジルサンダー 2000ss rtw 本人期
完全に流れに乗っていたジルサンダーは、1999年、PRADAグループに株式の75%を譲渡する形でブランドを売却。
しかしこれが、ジルサンダー本人がブランドのデザイナーを退任するきっかけとなってしまいます。
詳しくは、PRADAグループのコスト重視観とジルサンダー本人の品質重視観の間で摩擦が生じたことが原因だとされています。
結果としてやりたいことが出来ないと悟ったジルサンダーは、2000awコレクションを最後に辞任します。
出典:VOGUE
ジルサンダー 2002aw rtw ミラン・ヴィクミロヴィッチ期
ジルサンダーの引退後の2000年12月より、GUCCIでも経験を積んだ“Milan Vukmirovic(ミラン ヴィクミロビッチ)”がデザイナーに就任。
2003年にはジルサンダー本人が復帰しますが、2004年またもPRADAグループとの不調和をきっかけに退任してしまいます。
そして2005年には、“RAF SIMONS”がジルサンダーのデザイナーに就任。
2006年にChange Capital Partnershipがジルサンダー社を買収、2008年に日本のオンワードホールディングスがジルサンダー社を買収し、2011年にはブランドの新ライン“JIL SANDER NAVY(ジルサンダーネイビー)”をスタートさせます。
出典:VOGUE
ジルサンダー 2012aw ラフシモンズ期
2012awを最後にRAF SIMONSが退任。
ラフシモンズ退任後はPRADAグループの傘下から外れたことをきっかけに、ジルサンダー本人が再び就任します。
しかしそれも長くは続かず、2014awからはデザインチームがブランドの後任となりました。
2015ssからは“Rodolfo Paglialunga(ロドルフォ・パリアルンガ)”、退任後の2017年からは“メイヤー夫妻”がクリエイティブディレクターに就任し現在に至ります。
ジルサンダー+ × マッキントッシュ 2019aw
ジルサンダーは2019ssをもって、セカンドラインであったジルサンダーネイビーの展開を終了。
入れ替わるように、2019awからメインコレクションを補う“Jil Sander+(ジル サンダー+)”の展開をスタートしました。
直近の2021年にはMaison MargielaやMARNI、DIESELの親会社であるイタリアの“OTBグループ”がジルサンダーを買収し話題になりました。
ジルサンダーのブランド年表
ジルサンダー 2013ss 本人期
ジルサンダーとはどんな歴史を辿ってきたのか年表で簡潔にまとめてみました。
1968年 | ブティック設立 |
1978年 | パリ・プレタポルテ・コレクションに参加 |
1987年 | ミラノコレクションに参加 |
1989年 | 上場 |
1997年 | メンズラインスタート |
1999年 | PRADAグループがジルサンダー社を買収 |
2000年 | ジルサンダー辞任、ミラン ヴィクミロビッチ就任 |
2003年 | ミラン ヴィクミロビッチ退任、ジルサンダー復帰 |
2004年 | ジルサンダー辞任 |
2005年 | ラフシモンズ就任 |
2006年 | Change Capital Partnershipがジルサンダー社を買収 |
2008年 | オンワードホールディングスがジルサンダー社を買収 |
2011年 | セカンドライン“JIL SANDER NAVY”をスタート |
2012年 | ラフシモンズ退任 |
2013年 | ジルサンダー就任 |
2014年 | ジルサンダー退任、デザインチームが継承、ロドルフォ・パリアルンガ就任 |
2017年 | ロドルフォ・パリアルンガ退任、メイヤー夫妻就任 |
2019年 | JIL SANDER NAVY終了、Jil Sander+をスタート |
2021年 | OTBグループがジルサンダー社を買収 |
ジルサンダーの歴代デザイナーとは?
続いて、長い歴史を持つジルサンダーの歴代デザイナーについて解説していきます。
本人期(~00aw, 04ss~05ss, 13ss~14ss)
出典:VOGUE
ジルサンダー 2013aw rtw 本人期
本人期とは、ジルサンダー本人がブランドを担当していたシーズン。
歴代デザイナーの中で最も長い期間務め、今のジルサンダーの土台を作り上げた時期だとも言えます。
苦労した70年代・80年代は好調な香水の売上で乗り切り、コレクションにフォーカスが当たり始めたのは80年代後半になってから。
本人期では、現ジルサンダーのようなストリートなエッセンスは感じられず、どちらかというとモード・クラシックな空気感が強いことが特徴です。
ミニマムなデザインや素材へのこだわり、卓越した技術はこの頃からのキーポイントであり、デザイナーの意向が強く表れた細部まで妥協点の無いクリエイションは高く評価されています。
90年代のジルサンダー×プーマは当時ハイエンドとスポーティーの融合という前例がなかったことから、今振り返っても先進的なコラボであったと言えます。
ミラン・ヴィクミロヴィッチ期(01aw~03aw)
出典:VOGUE
ジルサンダー 2002aw rtw ミラン・ヴィクミロヴィッチ期
ミラン・ヴィクミロヴィッチ期とは、グッチ トムフォード期のデザイン・ディレクターを務めた経験を持つミラン・ヴィクミロヴィッチがクリエイティブディレクターを担当したシーズン。
しかしこの期間は、ブランドの足場を固めるのに苦労します。
結果として注目度も高まらず、現在も市場で見かける機会は滅多にありません。
ちなみに、ミラン・ヴィクミロヴィッチの契約は2003年5月で満期を終了していますが、04ssメンズは彼が残したデザイン画を元に、展示形式でコレクションを発表しています。
ラフシモンズ期(06aw~12aw)
ジルサンダー 2011aw ラフシモンズ
ブランドの転機となったのが、デザイナー・ラフシモンズの就任。
ラフ・シモンズがジルサンダーのクリエイティブディレクターを務めたラフシモンズ期は注目を集め、今でも当時のアイテムは根強い人気を誇っています。
ラフシモンズ期では、07awより服だけでなくアクセサリーやバッグも展開。
ラフシモンズの一線を画した非凡なカットは革命的で、ジルサンダーというブランドに新たな風を吹かせるような存在でした。
特に美しく丸みを帯びた曲線的なフォルムは目新しく、異次元の存在感を放ちます。
素材を活かしたショッキングピンクやオレンジなどの発色の良さは桁違いで、ペイズリーなどの良い意味でジルサンダーらしくない派手なプリントも綺麗に写し出されていることが特徴です。
ラフシモンズの腕もあり、以降のジルサンダーはカラー・シルエット・機能性が高く評価されることになります。
ロドルフォ・パリアルンガ期(15ss~17aw)
ジルサンダー 2016aw ロドルフォ・パリアルンガ期
ロドルフォ・パリアルンガ期とは、PRADAに10年以上在籍した経験を持つロドルフォ・パリアルンガがクリエイティブディレクターを担当したシーズン。
ロドルフォ・パリアルンガ期はアルパカやシルクを用いたラグジュアリーなアプローチを大事にしながら、ダークトーンという制約の中で幅を利かせたデザインを追求したり、わざとシワ加工を施したり、“敢えての逸脱”を大事にしている点が特徴です。
また、ロドルフォ・パリアルンガ期は機能主義的な一面もあり、視覚的な差異を生むことと合わせて“都会のファンクショナリズム(機能主義)”と呼び大事にしてきました。
メイヤー期(18ss~)
ジルサンダー 2021ss メイヤー期
メイヤー期とは、シュプリームや自身の人気ブランドOAMCのデザイナーを務めるルーク・メイヤーと、ルイ・ヴィトンやバレンシアでの経験を持つルーシー・メイヤーがクリエイティブディレクターを担当しているシーズン。
ジルサンダーのミニマルさにストリートやラグジュアリーの要素を融合し、新たなアプローチを仕掛けています。
メイヤー期はカラーパレットや生地の風合いがとにかく自由で、遊び心あるデザインが特徴です。エアリーな風合いでポジティブな印象のアイテムが多く、直感的な感覚を重視しているようです。
現在のジルサンダーの地位を確立できたのは、メイヤー夫妻の影響が大きいです。
ソウルフルで繊細なアプローチは今の時代に一致しており、ジルサンダーを世界的人気ブランドへと成長させました。
ジルサンダーの特徴とは?
ここでは、ジルサンダーの特徴について解説していきます。
ミニマムなデザイン
ジルサンダー 2021aw メイヤー期
ジルサンダーとはミニマリズムやリアルクローズを代表するブランドであり、これらの火付け役になったブランドとも言われるほどです。
シンプルで無駄のないデザインが特徴で、これは本人期の頃から基本的に一貫しています。
よってジルサンダーのアイテムはコーディネートに落とし込みやすく、一般受けしやすいデザインが多いと言えるでしょう。
上質な素材
出典:JIL SANDER
ベルト付きシアリング コート ¥1,468,500 メイヤー期
ジルサンダーを購入する決め手となるのが素材の上質さ。
ジルサンダーは世界トップレベルの上質な素材を使用し、故にラグジュアリーブランドに分類されるほど価格が跳ね上がります。
中には100万円を超えるラムレザーをふんだんに使用したコートも存在し、とても一般人には手が出せない価格設定であると分かります。
その素材の上質さは目視するだけで分かるほどであり、他のブランドと比較すると違いは明らかです。
特にシャツの人気が高く、ユニクロコラボでもその品質の良さが話題になりました。
卓越したカッティング
JIL SANDER NAVY 2014ss 本人期
ジルサンダーのワードローブは、卓越したカッティングによって成り立っていると言っても過言ではありません。
体にフィットする緻密なカッティングは一線を画し、無駄がないのに動きやすい点が特徴です。
パターンのカッティングはシルエットの美しさに直結するので、カッティングが美しい=シルエットが美しい服であると言えます。
ジルサンダー×ユニクロコラボの歴史
出典:UNIQLO
近年のジルサンダーのブランド知名度上昇には、ユニクロとのコラボが大きく関係しています。
ユニクロ×ジルサンダー、通称「+J(プラスジェイ)」は、2009年よりスタートしたユニクロのハイエンドライン。
+Jはブランドでなく、デザイナー「Jil Sander(本人)」とのコラボラインであるという認識が正しいです。
一時期は休止していましたが、2014年には「Best Of +J」名義で厳選されたコラボコレクションを発表し長蛇の列を記録しました。
現在ジルサンダー本人が手掛けるアパレルアイテムは存在せず、希少価値が高い点も人気の理由です。
ジルサンダーのおすすめ通販サイトとは?
ジルサンダー 2012aw ラフシモンズ期
ジルサンダーのおすすめ通販サイトは以下の通りです。
いずれも基本的に日本の通販サイトより安く購入できます。それぞれラインナップが異なるので要チェックです。
SSENSE【おすすめ通販サイト①】
SSENSE(エッセンス)とは、カナダ・モントリオールを拠点とした通販サイト。年に2度の大規模セールを開催し、ジルサンダーを最大70%OFF(例外で80%OFF商品もあり)で購入できます。
FARFETCH【おすすめ通販サイト②】
FARFETCH(ファーフェッチ)とは、イギリス・ロンドンを拠点とした通販サイト。
年に2度の大規模セールを開催し、ジルサンダーを最大80%OFFで購入できます。
MATCHESFASHION【おすすめ通販サイト③】
MATCHESFASHION(マッチズファッション)とは、イギリス・ロンドンを拠点とした通販サイト。
春夏と秋冬に分かれて一年中セールを開催しており、ジルサンダーを最大80%OFFで購入できます。
YOOX【おすすめ通販サイト④】
YOOX(ユークス)とは、イタリアを拠点とした通販サイト。
基本的に前シーズンのアイテムを取り扱い、アウトレット的な立ち位置の通販サイトだと言えます。
YOOXは1年に10回以上のセールを開催し、セール率の高い春夏・秋冬セールではジルサンダーを最大90%OFFで購入できます。
Grailed【おすすめ通販サイト⑤】
Grailed(グレイルド)とは、アメリカ・ニューヨークを拠点にメンズファッションに特化したマーケットプレイス。
古着が出品されているため思わぬ激レアアーカイブが見つかることがあり、本人期などジルサンダーのマニアックなアイテムを探している人に最適です。
まとめ
ジルサンダー 2022ss メイヤー期
今回は「ブランド解説|ジルサンダーとは?歴代デザイナー・歴史・特徴・おすすめ通販サイトなど」というタイトルでジルサンダーとはどんなブランドか解説していきました。
ジルサンダーとは?の要点について以下にまとめました。